法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要
法務大臣閣議後記者会見の概要
令和3年5月18日(火)
続いて,私から3件報告がございます。
1件目は,諸外国の民事法制等の調査研究業務の結果の公表についてです。
法務省におきましては,令和2年度に,父母の離婚に伴う子の養育等に関して,海外7か国を対象に,各国の民事法制や運用につきまして,研究者による調査研究を委託しました。
本日,法務省のホームページで,その報告書と概要を公開する予定でございます。
本調査研究は,親権や面会交流,養育費などについて,各国の最新の民事法制だけでなく,運用や,公的機関による支援の例などについても言及するものでありまして,我が国における父母の離婚に伴う子の養育の在り方を検討するに当たりまして,有用な情報を提供するものであると考えております。
2件目は,法務省ウェブサイト「離婚を考えている方へ」のリニューアルについてであります。
法務省では,昨年3月,「離婚を考えている方へ」というウェブサイトを開設し,養育費や面会交流,財産分与など,離婚をするときに決めておくべき代表的な事柄などを御説明してまいりました。
この度,ユーザーの視点に立った新たなウェブページを追加いたします。具体的には,ボタンをクリックして目的の情報に簡単に辿り着けるページを設け,さらに,英語版のページを作成して,海外に向けた情報発信も充実させました。
法務省としては,引き続き,父母の離婚に伴う子の養育の在り方について,必要な調査・検討を行うとともに,有益な情報を分かりやすく提供するなどの取組を行ってまいりたいと考えています。
3件目は,刑事法の整備につきまして法制審議会への諮問についてであります。
刑事手続におきましては,例えば,被疑者・被告人に対する起訴状謄本の送達や逮捕状・勾留状の呈示などを通じまして,犯罪被害者の氏名等が被疑者・被告人に知られることとなる場合があります。性犯罪の事件などにおいては,そのことによって,犯罪被害者等の名誉や社会生活の平穏が侵害されたり,加害行為がなされるおそれが生じることから,刑事手続を通じて犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための方策を講じることが必要です。
この点につきましては,平成28年の刑事訴訟法等一部改正法の附則において,「起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置」として検討を行うことが求められており,これまで法曹三者及び警察庁の担当者による「刑事手続に関する協議会」でも議論が行われてきました。今般,法務省におきまして,その内容を踏まえつつ,具体的な制度の在り方につきまして検討を進めた結果,今月20日に,被告人に対し,起訴状謄本に代えて,被害者の氏名等の記載のない起訴状抄本を送達することを可能にすることなどを内容とする刑事法の整備について法制審議会に諮問することとしました。
法制審議会において,充実した御議論が行われることを期待しております。
刑事法の整備に関する法制審議会への諮問に関する質疑について
刑事手続における犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための刑事法の整備に関する法制審議会への諮問についてお伺いします。先ほど御説明がありましたが,具体的にどのような内容について検討を法制審に依頼されるのか,また,答申に向けた今後のスケジュールについて,可能な範囲で教えてください。【大臣】
冒頭に申し上げたとおり,今般の諮問は,刑事手続におきまして,性犯罪の被害者の氏名等の情報を保護するための法整備を行おうとするものであります。
具体的に申し上げますと,公判手続におきましては,起訴状謄本の送達の場面で,被告人に対し,起訴状謄本に代えて,被害者の氏名等の記載のない起訴状抄本を送達すること,捜査手続におきましては,逮捕状・勾留状の呈示の場面で,被疑者に対し,逮捕状・勾留状の原本に代えて,被害者の氏名等の記載のない逮捕状・勾留状の抄本を示すことなど,刑事手続におきまして,被疑者・被告人の防御権にも配慮しながら,犯罪被害者の氏名等を被疑者・被告人に知られないようにすることができる措置を整備するものでございます。
今後のスケジュールについては,法制審議会における調査審議の状況によるものでございまして,現段階において確たることを申し上げることは難しいところでございますが,いずれにしても,スピード感を持って,充実した御審議が行われることを期待しているところでございます。
名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について
亡くなったスリランカ人女性をめぐって,御遺族は大臣との面会を求めていて,今日面会されるとの話です。
これまで,最終報告を待つ立場として御自身が面会されることは否定されておりましたが,今日はどういう立場で御遺族と面会されて,どういうお話をされるのか教えてください。【大臣】
私は,今こうして,法務大臣として,記者会見に臨ませていただいております。この間の答弁におきましても,法務大臣としての立場の中で答弁をしてまいりました。
今回の事案に関しましては,第三者を加えた公平・客観的な調査の実施を指示し,現在,調査の結果として取りまとめられる最終報告を待つ立場でございますので,御遺族に直接お会いすることについては適切でないと御説明をしてきたところでございます。
他方,私自身,今回,御遺族が異国の地で肉親を亡くされまして,大変苦しい御心情であるということについては,私自身も子を持つ母でございますので,痛切にそれを感じているところでございます。
御遺族の心情に寄り添いさせていただきまして,私の心からのお悔やみを申し上げたいということを考えているところでございます。
【記者】
今の御発言ですけれど,これまで何度聞いても,途中なので適切ではないと思うという発言でした。
今回,大臣が変わったのは,官邸から何らかの指示が出た,こういうことがきっかけになっているのではないですか。御遺族に会う理由としては突然なので,官邸からの指示があったのではないでしょうか。いかがでしょうか。
【大臣】
ただいまの御質問に対して,お答えは差し控えさせていただきます。
私は先ほど申し上げましたとおり,法務大臣としての職責を果たすということに徹して,この間,動いてまいりました。
調査の指示におきましても,私自身が判断をしながら,客観・公正に行うべきことであるということを指示し,この件に関して,それ以外の指示を外部からすること,いろいろな指示を外部からすること自体,介入ととられるということで,この客観・公正が損なわれるということを大変慎重に考えて行動してまいりました。
その意味では,法務大臣としてお会いするということについては,申し訳ございませんができないということを申し上げてきたところであります。
突然変わったということでありますが,法務大臣としてお会いするという立場ではございません。私自身,政治家でありますし,また一人の人間であります。御遺族の方に,こういう気持ちの部分を,お悔やみを申し上げるということをお伝えしたいという思いでございます。
【記者】
一つ確認ですが,衆議院議員上川陽子さんとしてお会いになるということでしょうか。
【大臣】
一人の人間として,上川陽子としてお会いするということです。
これは,私は政治家である前に一人の人間であります。私の属性もそういうものであります。機械でもございません。
そういう意味で,私は今,法務大臣として務めを果たすという意味でのことについては,最大限,自分がやるべきことについて申し上げてまいりました。
先ほどの何をもってそういうふうに変化したのかということについては,変化をしておりません。どういうタイミングでということについては,まだはっきりしておりませんけれども,人としてお悔やみを申し上げたいという思いで,そういう気持ちを伝えたいと思っておりますし,また,御遺族の気持ちにも寄り添いたいと思っております。
【記者】
今日遺族としては,この入管庁の報告書,そして入管庁を取り仕切る法務省のトップの大臣から,直接謝罪も含めた言葉をいただけるのかなと思っていると思うのですが,今日の面会というのは,法務省としてではなく,飽くまでも一個人だという理解ですね。
そうなると,あちら側の遺族の受け止めというのもちょっと変わってくると思うのですが,そういう個人的な判断で,6時以降に会うという決断をされたという理解でいいですね。
つまり,法務省としては,現段階で遺族に会うことはよろしくないと,また適切でないと考えているという理解でいいですね。
【大臣】
御遺族が来日されていらっしゃるということでありますし,私は御遺族の気持ちに寄り添いながら,弔問というかお悔やみの気持ちを直接お伝えしたいなと思っておりましたので,個人的というのは一人の人間としてお会いするということであります。
何か肩書きをつけて,あるいは法務大臣としてということも,また衆議院議員だからということではなく,一人の人としてお会いすると,直接お悔やみを申し上げたいという気持ちの表出であります。
【記者】
その判断は官邸からそう言われたので,一個人としてということでいいですか。
【大臣】
こうしたことを誰かから言われてすべきものでしょうか。
【記者】
それであれば初めからできますよね。そういうことであれば。
【大臣】
そういう御質問については,私は今申し上げたとおりでございまして,自分の気持ちの中の一つの表出として,直接お悔やみを申し上げたいと考えております。